Webマガジン「ねむよし」

みんなねむくなる。けんかせずなかよしになれ。

えさやり

恋人と一緒に住むようになり、会社でもらったお菓子なんかをよく持ち帰るようになった。
 
出張帰りのお土産や、お客さんからもらってきたお菓子などが会社の共有スペースに置かれ、社員は好きに取って食べる。
おせんべいやクッキー、チョコレートなど定番のお菓子だらけだが、時々特別な美味しいお菓子が置いてあるときがある。
 
大抵の人はその場で食べるが、私はお菓子を見つけると、ひとつ取ってバッグに入れる。
持ち帰る姿を見られるのが恥ずかしいから、周りに人がいないときにバレないようこそこそと犯行に及ぶ。
 
手に入れたお菓子を家に帰って恋人に「どうぞ」と渡す。恋人は喜んで食べる。
私の分のお菓子は貰わない。申し訳ないからね。
 
甘いチョコレートを持ち帰ってきたときは、いつもよりも恋人は喜んだ。
 
「これ好きなんだよ。食べていいんですか」
「どうぞ」
 
恋人は個包装のチョコレートを袋から出し、パクリと食べた。
にんまりと笑う。とても嬉しそう。
恋人が嬉しそうにしていると私も嬉しい。
 
多分、捨て猫を拾った小学生が給食をわざと残して猫に食べさせるのと同じ。
(そんな小学生、アニメでしか見たことないけど!)
 
言葉の通じない、気まぐれな生き物にえさをあげたくなる。
猫はぺろぺろ毛繕いをする。恋人は本を読む。
私のことを見てるのか、見てないのかよくわからないけど、それくらいがちょうどいい。
 
人からもらったお菓子ばかりをあげてるのはケチっぽいから
たまには自分でお菓子を買ってきてあげようかな。
 
でも、私の好きなお菓子にしよ!